Column
院長コラム
思春期特発性側弯症の頻度と自然経過のお話し
2023年07月27日
皆様こんにちは。全国的に「災害級の」という枕詞が日々踊るような、大変暑い日が続いております。私の次女は先日夏休み前の学校行事で富士山登山でした。富士山頂は気温5度ぐらいだったとのことで、下界の暑さとは別世界が広がっていたそうです。同じ日本とは思えないですね。
さて、今日から側弯症でも一番頻度の高い「思春期特発性側弯症」についてお話しします。側弯症の8割が「特発性」側弯症だと、前回お話ししました。今日は、その側弯症の学校検診の結果からみた頻度と、自然経過についてお話しします。
まず、頻度について、思春期の側弯症は表のような頻度(有病率)で見られます。
Cobb角というのは、初回の側弯症のコラムで紹介した測り方で計測したカーブの角度のことを指すのですが、
軽いものを含めると、100人に2~3人で側弯症の方がいらっしゃいます。決して珍しいことではありません。
また、角度が大きい(曲がりが大きい)のは、女児に多いことが分かっています。
思春期特発性側弯症のカーブはいつ進行するのでしょうか?
グラフのように、身長が最も伸びるときに、カーブも最も進行します。
成長期が終われば、カーブの進行は緩やかになります。
ただし、成長期が終わってもカーブが進行する場合もあります。
統計的には、
- 胸椎のカーブは成長終了後50度を超えていた場合
- 腰椎のカーブが成長終了後40度を超えていた場合
年間0.5~1度程度カーブが進行するといわれています。単純計算だと、20歳の時に50度のカーブであった場合、60歳の時には70~80度になっているかもしれない、ということになります。
逆に、成長終了後30度程度のカーブであれば、進行するリスクは小さいといえます。
よって、早期発見と進行予測、成長期の進行予防介入と必要時適切なタイミングで手術介入(矯正固定術)が大事になります。
早期発見のため、当院では側弯症の診断に必須の、立った状態で脊柱全体のレントゲンを撮像できるレントゲン装置を設置しており、正確な側弯症の評価を行うように心がけております。側弯症のことが気になられる方はお気軽にご相談ください。
次回は、側弯症が引き起こす症状について、お話しします。