Column
院長コラム
ステロイド系抗炎症薬について(後編)~知っておきたい副作用~
2026年03月04日
みなさまこんにちは。1か月前は週末ごとに雪が積もっていましたが、3月に入り花粉症の方の辛そうな姿が増えてまいりました。鬱陶しい冬の曇天ともそろそろお別れし、心躍る春がもうすぐのはずですが、それを覆い隠すように戦火のニュースが世間を駆け巡り心が晴れない日々が続きます。
さて、気を取り直し、今日はステロイド系抗炎症薬の後編、ステロイドの影の部分についてお話しさせて頂きます。整形外科では腱や関節がよく炎症性疼痛の首座になるため、治療のターゲットになります。前回のコラムで、糖質コルチコイド(ステロイド)は強力な抗炎症作用があり、局所の炎症制御(=鎮痛)を目的とした腱や関節へのステロイドのピンポイント注射は重要な治療戦略であることをお話ししました。

しかしながら、ステロイドにも大きな欠点(弱点)があります。それは、腱を構成するコラーゲン繊維の再生を抑制してしまったり、関節軟骨の軟骨細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導してしまったり、骨壊死を来したりすることです。つまり、炎症を抑えるのと同時に、組織の破壊も同時に進めてしまうリスクがあります。ステロイドは痛みをとるが、組織の修復を阻害する、諸刃の剣というわけです。
もちろん、患者さんは「今の痛みを取ってほしい」という強い希望をもって受診されます。そこで、副作用のリスクをなるべく減らすようなステロイドの使い方が重要となります。ポイントは、「なるべくステロイドの濃度は低く(濃い濃度のステロイド注射で腱損傷のリスクが上がる)」「なるべく回数は少なく(回数が多いと腱断裂のリスクが上がったり、軟骨の摩耗が進行する)」です。もちろん使用するステロイドの種類・濃度・注射部位・回数は違いますので、一概にどの薬でどの濃度でどの頻度であれば大丈夫とは言えません。ただし、漫然と注射を続けてもよくならない場合は治療方針を変える事も必要です。例えば、ステロイド注射に関して欧米では次のように推奨されています。
回数については年に3~4回までとし、投与間隔は1~3か月以上空けましょうというのが多勢の意見です。
患者さんのなかには、なかなかこれら副作用のことは自分に降りかかってこないと実感がわかないでしょうから、手術は絶対いやだ!と強く繰り返しの注射をご希望される方もおられます。注射の希望が強い患者さんに「3回までですよ」と理由とともにお話しすると、微妙な空気が流れてしまうのはよくある外来現場の光景です…。
では、ステロイド注射が3回を過ぎてしまったら、手術以外には我慢するしかないのでしょうか?次からの院長コラムでは、ステロイド以外の抗炎症作用のある治療法や再生を促す可能性のある治療法について、紹介させて頂こうと思います。次回の更新までお待ちください!
コラム一覧
2026年01月03日
2025年10月03日
2025年08月25日
2025年06月08日
2025年03月27日
2025年01月31日
2024年12月12日
2024年11月06日
2024年09月18日

