Column
院長コラム

腰痛のお話 ~椎間関節と腰痛~

2023年05月26日

みなさんこんにちは。日が長く、気候も穏やかで、新緑が心地よい日が続いています。

周囲の水田も田植えが終わり、小さい稲が整然と並ぶ景色は私が子供のころと変わらない景色で、懐かしさを覚えます。

 

さて、腰痛のお話し、今日は椎間関節に焦点を当ててみます。椎間関節とは、腰椎の後ろ側の組織で、上位の椎体と下位の椎体の関節です。

膝関節や股関節など四肢の荷重を受ける関節は、荷重がかかると関節面に負担がかかります。その場合、軟骨が減っていたり、過度な負担がかかったりすると、痛みが生じますよね?

 

腰の椎間関節も同様で、特に後屈(反り返った時)には関節の負担が増えるため、痛みを生じる可能性があります。

椎間関節の袋(関節包)には刺激を感知する侵害受容器が豊富に存在するため、その刺激が神経を伝って痛みとして感知され、腰痛を発生します。

刺激の伝導で重要なのが、椎間関節を支配する脊髄神経後枝内側枝です。

 

診察では、後屈や後屈+回旋をして頂き痛みが誘発されるか、椎間関節に圧痛がないかを確認します。また、レントゲンで椎間関節の隙間(≒軟骨の厚み)が減っていないか、エコーで椎間関節周囲に水腫や血流の増加(≒炎症)がないか、を確認し、責任椎間関節を絞り込んでいきます。

 

治療のターゲットは

・椎間関節(の侵害受容器)

・椎間関節痛の伝導路の1つである脊髄神経後枝内側枝

です。

 

椎間関節の侵害受容器が炎症や過度な負担で異常に興奮し、刺激を伝導してしまうための痛みなので、炎症や負担を抑えることが第一です。

消炎鎮痛薬の投与、過度な運動の禁止(安静)、疼痛誘発姿勢をとらないようにすること

は重要です。

また、椎間関節に直接局所麻酔薬や抗炎症剤を注入する(椎間関節ブロックも有用ですし、椎間関節が受けた刺激の伝導路である脊髄神経後枝内側枝をブロックすることも有用です。

繰り返して椎間関節の痛みを生じる場合は、疼痛誘発姿勢を避けるような生活習慣を見直すことや体幹の柔軟性を維持したり体幹筋力を維持したりしていくことも重要です。

 

当院では、各種ブロックを透視装置やエコーを用いて、ターゲットへ正確に注入することを心掛けております。また、生活習慣の見直しや体幹のケアをリハビリテーションを通して行い、腰痛を改善することも行っております。腰痛でお困りの方、お気軽にご相談ください。

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